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当院には、「牛乳アレルギー」や「新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症(通称:消化管アレルギー)」と診断された際に、「どのアレルギー用ミルクを選んだらいいのか分からない」というご相談が多く寄せられます。
大切なお子さんの毎日の栄養ですから、不安に感じるのは当然ですよね。今日は、そんなお父さん、お母さんの疑問を解消できるよう、アレルギー用ミルクの選び方について、専門医の立場から分かりやすくお話ししたいと思います。
まず、「アレルギー用ミルク」と聞いて、普通のミルクと何が違うの?と思われるかもしれませんね。
一般的に、赤ちゃんが飲むミルクの原料は牛乳です。しかし、牛乳アレルギーや消化管アレルギーの赤ちゃんは、牛乳に含まれるタンパク質をうまく消化・吸収できなかったり、アレルギー反応を起こしてしまったりします。
そこで登場するのが、牛乳のタンパク質を細かく分解したり、牛乳以外の原料を使ったりして、アレルギー反応を起こしにくく作られたミルク、それが「アレルギー用ミルク」なんです。
大きく分けて、以下の3つのタイプがあります。
「じゃあ、うちの子にはどれがいいの?」というご質問、一番知りたいポイントですよね。
結論から言うと、お子さんのアレルギーの状態や症状の程度によって、選ぶべきミルクは変わってきます。
基本的には、以下のような流れで選んでいくことが多いです。
最も大切なのは、自己判断せずに必ず小児科医に相談することです! お子さんのアレルギーの状態は一人ひとり異なります。医師が適切な診断のもと、お子さんに合ったミルクを提案してくれます。
現在、様々なメーカーからアレルギー用ミルクが販売されています。主なミルクの種類と特徴をまとめた表を参考にしてくださいね。
【注意点】
Q1. アレルギー用ミルクは、いつまで続けるの?
A. お子さんのアレルギーの治り具合によって異なります。定期的に食物負荷試験等を行い、医師と相談しながら、段階的に普通のミルクや牛乳への移行を検討していきます。自己判断での中止は避けましょう。当院では食物負荷試験に対応しています。ご相談下さい。
Q2. アレルギー用ミルクはまずいって聞くけど、飲んでくれるか心配…
A. 一般のミルクと比べると、独特の風味があると感じるお子さんもいます。しかし、問題なく飲んでくれる場合も多いです。もし飲みにくいようでしたら、少量ずつ慣らしていく、ミルクの温度を少し変えてみる、ミルクの銘柄を変えてみるなどの工夫もできます。
Q3. アレルギー用ミルクは高いけど、補助金は出るの?
A. 残念ながら、アレルギー用ミルクに対する公的な補助金制度は、現在のところ全国一律ではありません。ただし、自治体によっては独自の助成制度がある場合もありますので、お住まいの地域の役所に問い合わせてみてください。また、医療費控除の対象となる場合もありますので、領収書は大切に保管しておきましょう。
牛乳アレルギーや消化管アレルギーと診断された時、お父さん、お母さんはとても不安になることと思います。しかし、アレルギー用ミルクを適切に使うことで、お子さんは栄養をしっかり摂りながら、すくすくと成長することができます。
当院では、お子さんのアレルギーの状態を丁寧に診察し、ご家族の皆様が安心して子育てできるよう、最適なアレルギー用ミルクの選択はもちろん、離乳食の進め方や今後の見通しについても、エビデンスに基づきながら、分かりやすく、そして優しく寄り添ってお話しさせていただきます。
何かご心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。お子さんの健やかな成長を、家族とともに地域で支えていきたいと心から願っています。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)