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急な嘔吐・下痢!こどもの胃腸炎(感染性胃腸炎)、家庭でできる看護(ホームケア)の完全ガイド

「きのうまであんなに元気だったのに、急に吐いてしまった…」

「下痢が続いて、おしりがかぶれてかわいそう…」

お子さんの突然の嘔吐や下痢。どうしてあげたらいいのか、病院に連れて行くべきか、不安でいっぱいになることと思います。
今回はこどもの「胃腸炎(感染性胃腸炎)」について、ご家庭でできる具体的な看護(ホームケア)の方法から、受診のタイミングまで、日本小児科学会認定小児科専門医の視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。


Geminiで作画

 

そもそも「こどもの胃腸炎」って、なあに?

 

まず、胃腸炎についてお話ししましょう。 こどもが罹る胃腸炎のそのほとんどは、「ウイルス」が原因です。よく耳にするノロウイルスロタウイルス、冬場に風邪症状と共に見られるアデノウイルスなどが代表的なものです。これらのウイルスが、口から体の中に入り、胃や腸の粘膜で増殖して炎症を起こすことで、嘔吐や下痢といった症状を引き起こします。
特に空気が乾燥する秋の終わりから冬にかけて大流行しますが、ウイルスは一年中存在するため、夏場でもかかることは珍しくありません。

細菌性の胃腸炎(O-157など)もありますが、頻度としてはウイルス性が圧倒的に多いのが特徴です。

 

胃腸炎の典型的な症状と経過

 

胃腸炎の症状は突然やってきます。

  1. 嘔吐期(はじめの12~48時間)
    • 多くの場合、前触れもなく突然の吐き気や嘔吐から始まります。
    • 食べたものだけでなく、胃液のような黄色い液体を吐くこともあります。
    • この時期は、何を飲ませても吐いてしまうことが多く、親御さんにとっては一番辛い時間かもしれません。熱が出ることもあります。
  2. 下痢期(嘔吐が落ち着いた後から1週間程度)
    • 嵐のような嘔吐が少し落ち着いてくると、今度は下痢が始まります。
    • 水のような便(水様便)が、一日に何度も出ます。
    • 酸っぱい臭いのする白っぽい便(ロタウイルスでよく見られます)が出ることもあります。
    • 下痢は比較的長く続き、1週間、時にはそれ以上かかることもあります。

腹痛を伴うことも多く、「おなかがいたい」と泣いたり、不機嫌になったりします。 この経過はあくまで典型例です。下痢だけのこともあれば、嘔吐だけのこともあり、お子さんによって症状の出方は様々です。

 

「脱水症」。見逃さないためのチェックリスト

 

胃腸炎の診療で、私たちが最も警戒するのは「脱水症」です。 嘔吐や下痢によって、体の中から水分と、生きていくために不可欠な塩分やカリウムなどの「電解質(でんかいしつ)」が大量に失われてしまう状態です。
特に体の小さい赤ちゃんやこどもは、もともと体内の水分量が多く、あっという間に脱水が進んでしまうことがあります。

ご家庭で注意深く観察していただくために、脱水症のサインをリストアップしました。一つでも当てはまれば要注意、複数当てはまる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

【脱水症のサイン・チェックリスト】

  • おしっこの回数・量が明らかに減った(半日から1日以上出ていないなど)
  • 泣いているのに涙が出ていない
  • 口の中や唇がカサカサに乾いている
  • 目が落ちくぼんで、くまができたように見える
  • ぐったりしていて、あやしても笑わない、元気がない
  • 皮膚の張りがなく、つまんだ跡がなかなか戻らない

「いつもと何か違う」「とにかく元気がない」。そんな親御さんの直感はとても大切です。

 

おうちでのケア(ホームケア)の3つの鉄則

 

胃腸炎には特効薬がありません。ウイルスを自分の力でやっつけるしかないのです。だからこそ、お子さんの体がウイルスと戦うのを助けてあげる「ホームケア」が何よりも重要になります。

ポイントは3つです。

 

鉄則1:水分補給は「少量」を「頻回」に

 

脱水を防ぐための水分補給が、ケアの最重要ポイントです。 しかし、焦ってゴクゴク飲ませてしまうと、胃がびっくりしてまた吐いてしまう原因になります。

  • 何を飲ませる?ベストは「経口補水液」です。(OS-1やアクアライトORSなど)
    • 「飲む点滴」とも言われ、失われた水分と電解質を最も効率よく吸収できるように作られています。薬局などで購入できますので、いざという時のために常備しておくと安心です。
    • なければ「麦茶」や「湯冷まし」でもOK。
    • 注意が必要なもの:牛乳や乳製品は、下痢の時には消化しにくいため、避けた方が無難です。
  • どうやって飲ませる?
    • 吐き気が強い間は、無理に飲ませる必要はありません。少し落ち着くのを待ちましょう。(最後の嘔吐から1~2時間程度)
    • ティースプーン1杯(約5ml)やペットボトルのキャップ1杯分からスタートします。
    • 10分から20分おきに、根気強く繰り返します。
    • 30分~1時間ほど続けて吐かなければ、少しずつ1回量を増やし、間隔をあけていきます。

この「少量頻回」が、胃を刺激せずに水分を吸収させるための最大のコツです。

 

鉄則2:食事は「吐き気がおさまってから」

 

食欲がない時に、無理に食べさせる必要は全くありません。こどもは数日食べなくても、水分さえ摂れていれば大丈夫です。

  • いつから始める?吐き気が完全におさまり、お子さん自身が「おなかすいた」と言い出してからが再開のサインです。
  • 何を食べさせる?胃腸に優しい、消化の良いものから始めましょう。
    • おかゆ、くたくたに煮込んだうどん
    • すりおろしリンゴ、バナナ
    • 野菜スープ、豆腐、白身魚の煮付け
  • 避けたほうが良いもの
    • 油っこいもの(揚げ物など)
    • 食物繊維の多いもの(きのこ、ごぼうなど)
    • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
    • 柑橘系の果物やジュース

普段の食事に戻すのは、便の状態が少しずつ固形に近づいてきてから。焦らず、ゆっくり進めていきましょう。

 

鉄則3:下痢止めは自己判断で使わない

 

「下痢がかわいそうだから、薬で止めてあげたい」と思うのが親心ですよね。 しかし、自己判断で市販の下痢止めを使うのは絶対にやめましょう。
下痢は、体の中のウイルスや毒素を外に排出しようとする体の防御反応です。薬で無理に止めてしまうと、ウイルスが腸内にとどまり、かえって回復を遅らせてしまうことがあるのです。 病院では、お腹の調子を整える「整腸剤」を処方することがほとんどです。

 

「すぐに病院へ!」ためらわずに受診してほしい症状

 

ほとんどの胃腸炎は、適切なホームケアで自然に回復していきます。しかし、中には緊急を要するケースや、別の病気が隠れている可能性もあります。以下のような症状が見られたら、夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診してください。

  • ぐったりして意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い
  • 水分を全く受け付けず、嘔吐が半日以上続いている
  • 脱水症のサイン(おしっこが半日以上出ていないなど)が強く見られる
  • 血が混じった便(血便)が出た
  • お腹をものすごく痛がり、泣き止まない、顔色が悪い
  • 緑色(胆汁色)のものを吐いた
  • けいれんを起こした

判断に迷った場合は、ためらわずに「#8000(こども医療でんわ相談)」に電話したり、かかりつけ医に相談したりしてください。

 

家族にうつさない!二次感染の予防策

 

胃腸炎は感染力が非常に強いのが特徴です。看病しているご家族が倒れてしまっては元も子もありません。

  • 手洗いこそ最強の予防策おむつ交換の後、吐物の処理の後、食事の前は、必ず石鹸と流水で30秒以上かけて丁寧に手を洗いましょう。アルコール消毒はノロウイルスなどには効きにくいことがあります。
  • 吐物・便の処理は慎重に
    • 使い捨てのマスクと手袋を着用します。
    • ペーパータオルなどで静かに拭き取り、すぐにビニール袋に入れて口を縛ります。
    • 汚れた場所は、塩素系漂白剤(ハイターなど)を薄めた消毒液で、広めに拭きましょう。(ペットボトル500mlの水に、漂白剤をキャップ1~2杯程度が目安
  • タオルの共有は避けるトイレや洗面所のタオルは、家族内で共有しないようにしましょう。

 

保育園・学校はいつから行ける?

 

登園・登校の目安は、「嘔吐と下痢の症状がなくなり、普段通りの食事がとれて、元気に過ごせるようになってから」です。 下痢が完全に止まるまでには時間がかかることもありますが、便の状態がある程度固形に戻っていれば、登園・登校を再開しても良いでしょう。ただし、園や学校によっては独自の基準がある場合もあるので、必ず確認してください。

 

最後に

 

こどもの胃腸炎は、お子さん本人も辛いですが、そばで見守る親御さんも本当に大変です。でも、こどもは強い回復力を持っています。

当院、「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、エビデンスを大切にしながらも、ご家族の不安に優しく寄り添う診療を心がけています。「これでいいのかな?」「こんな時どうしたら?」と少しでも不安に感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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