近年、百日咳の流行がみられることから、小学校入学前(年長さん)での三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンの重要性がクローズアップされています。
当院Blog「10代で急増中!赤ちゃんにうつると怖い!?百日咳の最新情報と予防策」
年長さんになったら三種混合(DPT)ワクチンを接種しましょう
百日咳は、ワクチン(以前は三種混合、現在は四種混合ワクチン・5種混合ワクチンとして接種しています)を接種していても4歳ごろになると免疫が低下してしまうため、5歳ごろからかかってしまうお子さんが増加することが問題視されています。2018年から全数把握対象疾患になり、百日咳に罹患した患者さんの発生動向がわかるようなりました。2018年の年間の百日咳患者報告数は11,190例で、年齢別でもっとも多かったのが7歳をピークとした5-15歳未満のお子さんでした。小さいお子さんがいるご家庭では、兄弟間で感染することもあり、重症化する可能性があります。川崎市内でも毎週一定数の百日咳感染が報告されています。
2018年8月、小児科学会から小学校入学前に「三種混合ワクチン(DPT)」の追加接種が推奨されるようになりました。また、11歳になると接種する二種混合ワクチン(DT)のかわりに三種混合ワクチン(DPT)を接種することも勧められています(ただし任意接種となります)。
おにいちゃんやおねえちゃんが百日咳にかからないように、そして赤ちゃんを守るためにも、年長さんになったら三種混合ワクチン(DPT)を接種されることをお勧めいたします。
就学前に不活化ポリオワクチン接種も推奨されています
2018年8月1日に「日本小児科学会が推奨するワクチンスケジュールの変更点」で学童期以降のポリオに対する抗体の維持のために、入学前に不活化ポリオワクチンの追加接種が推奨とされました。
<「ポリオ」とは>
「小児まひ」とも呼ばれますが、成人でもかかります。多くの場合は罹患しても無症状か風邪に似た症状だけですみますが、重症な場合には、手足の麻痺などを引き起こし、後遺症としてのこります。
海外では依然としてポリオの報告があるため、日本国内にポリオウイルスが持ち込まれる可能性があります。
<日本でのポリオワクチン接種の現状>
不活化ポリオワクチン(IPV)は、現在4種混合ワクチン(DPT-IPV)、5種混合ワクチン(DPT-IPV-HIV)に含まれており、乳幼児期に定期接種で4回まで行われています。しかし、接種から時間が経つと抗体価が徐々に低下するため、再びポリオ発症のリスクにさらされてしまうことが知られています。この抗体価は、「5回目接種」により、低下した抗体価が再び上昇し、その後高く維持することができます。
このことから、多くの欧米諸国では、5〜6回接種が標準となっており、小学校入学前に追加接種がされています。
日本では、公費で受けられるのが4回までが現状ですが、任意(自費)であれば、5回目の接種を受けることができます。現状では自費での接種になりますが、より長期間でポリオ感染を予防するためには有効です。
よって、就学前には下記の4つのワクチン接種が勧められています。
- MRワクチン(2回目、定期接種(公費))
- おたふくかぜワクチン(2回目、任意接種(自費))
- 3種混合ワクチン(任意接種(自費))
- 不活化ポリオワクチン(任意接種(自費))