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今回は、こどもに多く見られる「みずいぼ(伝染性軟属腫)」について、親御さんが気になるポイントを中心にお話ししたいと思います。特に、みずいぼの症状、原因、治療法、日常生活での注意点などを詳しく解説いたします。
みずいぼは、正式には「伝染性軟属腫」と呼ばれるウイルス性の皮膚感染症です。主に1歳から10歳くらいまでの子どもに多く見られます。症状としては、直径2〜5mm程度の光沢のある小さな丘疹(ブツブツ)が現れ、中央がくぼんでいるのが特徴です。これらは体幹、四肢、顔などに発生し、痛みはほとんどありませんが、時にかゆみを伴うこともあります。
みずいぼは、ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされます。感染経路としては、直接的な皮膚接触が主な原因です。1個できれば、その近くに数個増えます。引っ掻いた指で触わると遠くの皮膚にも感染し、次々と増えていきます。例えば、兄弟間でのお風呂や遊び中の接触、タオルや衣類の共有などが挙げられます。また、プールの水そのものから感染することはないとされていますが、プールサイドや更衣室での接触、タオルの共用などで感染が広がる可能性があります。
みずいぼの治療にはいくつかの方法があります。お子さんの状態や親御さんのご希望に合わせて選択することが重要です。
トラコーマ鑷子(せっし)と呼ばれる特殊なピンセットを使用して、みずいぼを一つずつ摘み取る方法です。確実性が高い反面、痛みを伴うため、お子さんが怖がることもあります。その際、当院では痛みを緩和するテープを使用して痛みを軽減して行っています。
液体窒素を用いて、みずいぼを凍結させて除去する方法です。直接的なダメージを与えるため、一定の効果が期待できますが、痛みを伴うことや、複数回の治療が必要になる場合があります。
痛みを避けたい場合、塗り薬を使用する方法があります。自費治療となりますが、例えば、「M-BFクリーム®」は、銀イオンと保湿成分、抗炎症作用を持つサクランが配合されており、一定の効果が報告されています。ただし、効果が現れるまでに時間がかかるため、根気強く塗布を続ける必要があります。まずは3ヶ月頑張って塗ってみましょう。
岩城製薬HPから抜粋
ヨクイニン(ハトムギの種子から抽出された生薬)を内服することで、免疫力を高め、みずいぼの自然治癒を促す方法です。副作用が少ないため、試してみる価値がありますが、効果には個人差があります。
みずいぼは、免疫がつくことで自然に治ることもあります。そのため、特に症状が軽度で、日常生活に支障がない場合は、経過観察を選択することも一つの方法です。ただし、みずいぼが増加したり、かゆみが強くなる場合は、他の治療法を検討する必要があります。
みずいぼの感染拡大を防ぐため、以下のポイントに注意しましょう。
肌と肌の接触を避ける:兄弟姉妹間でのタオルや衣類の共有を避け、お風呂も別々に入ることが望ましいです。
肌を清潔に保つ:汗をかいた後はシャワーを浴びるなどして、肌を清潔に保ちましょう。
保湿を心がける:肌が乾燥すると、かゆみが増し、みずいぼを引っかいてしまう原因になります。適切な保湿を行い、肌のバリア機能を高めましょう。
プールでの対策:プールに入る際は、ラッシュガードなどでみずいぼを覆い、他の子どもとの直接的な接触を避けるようにしましょう。また、タオルや浮き輪の共有は避けることが重要です。
みずいぼは子どもに多く見られる皮膚感染症ですが、適切な対処と日常生活での注意により、感染の拡大を防ぐことが可能です。治療法は多岐にわたりますので、お子さまの状態やご家庭の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
特に夏場はプールや外遊びの機会が増えるため、みずいぼが広がりやすくなります。「プールに入ってもいいの?」「兄弟にうつらないようにするには?」といった疑問をお持ちの親御さんも多いと思いますが、正しい知識を持って対策を行えば、過度に心配する必要はありません。
もし「うちの子のみずいぼはどうしたらいい?」とお悩みの方は、一度皮膚科や小児科を受診し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
<参考>
・日本小児皮膚科学会HP「みずいぼ」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)