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お子さんが鼻水や鼻づまりで寝苦しそうにしていたり、何度もくしゃみをしているのを見ると、心配になりますよね。「ただの風邪かな?」と思うことも多いですが、もしかしたらそれはアレルギー性鼻炎かもしれません。最近は、より低年齢で発症することが増えています。
アレルギー性鼻炎は、特定の物質(アレルゲン)が鼻の粘膜に触れることで、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が繰り返し起こる病気です。お子さんにとっては、学習や睡眠の質が低下することで日常生活の質までも大きく低下させてしまうこともあるので、きちんと理解して適切な対策をとることが大切です。
季節性アレルギー性鼻炎は、特定の季節に症状が出るもので、その多くは花粉が原因です。日本では年間を通して様々な花粉が飛散しており、お子さんの症状が出る時期によって原因となる花粉が異なります。
春(2月中旬~5月頃)は、アレルギー性鼻炎の代表格であるスギ花粉、そしてヒノキ花粉が飛散する季節です。花粉飛散情報などニュースなどでもよく耳にするので、ご存知の保護者の方も多いでしょう。お子さんが、この時期に目のかゆみや充血を伴う鼻水やくしゃみがひどい場合は、スギやヒノキ花粉症の可能性が高いです。花粉飛散時期より前(1月末や2月初旬)から抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬による治療を行うと、症状が緩和することが知られています。
意外に思われるかもしれませんが、夏(5月~8月頃)にも花粉症は存在します。この時期に飛散するのは、主にイネ科花粉(カモガヤ、オオアワガエリなど)です。道端や河川敷など、身近な場所にも生えている植物なので、お子さんが公園で遊んだり、草むらで過ごしたりした後に症状が出るようでしたら、イネ科花粉が原因かもしれません。
秋(8月~10月頃)に鼻の症状が出る場合は、ブタクサやヨモギといったキク科の植物の花粉が原因のことがよくあります。これらの植物は、空き地や河川敷など、比較的身近な場所に生息しています。夏から秋にかけて症状が続く場合は、これらの花粉を疑ってみましょう。
季節に関係なく、一年中鼻の症状が続く場合は、通年性アレルギー性鼻炎の可能性が高いです。このタイプの主な原因は、ご家庭のなかに潜んでいるアレルゲンです。
通年性アレルギー性鼻炎の最も大きな原因は、ダニです。特に、ハウスダストの中に含まれるダニの死骸やフンがアレルゲンとなります。ダニは、布団、枕、ソファ、カーペット、ぬいぐるみなど、家中の至る所に生息しています。お子さんが朝方にくしゃみや鼻づまりがひどい、寝室にいるときに症状が悪化するといった場合は、ダニアレルギーの可能性が高いです。
意外と見落としがちなのが、エアコンのカビです。エアコン内部は湿度が高く、カビが繁殖しやすい環境です。エアコンをつけると、その風に乗ってカビの胞子が室内にまき散らされ、アレルギー症状を引き起こすことがあります。夏場や冬場など、エアコンをよく使う時期に症状が悪化するようでしたら、エアコンのお掃除も検討してみましょう。
お子さんの鼻水や鼻づまりが長引いたり、特定の季節や環境で悪化するようでしたら、ぜひ一度小児科を受診してください。アレルギー性鼻炎の診断は、問診や診察だけでなく、血液検査でアレルゲンを特定することも可能です。
アレルゲンが特定できれば、そのアレルゲンを避ける対策や抗ヒスタミン薬などを内服する期間を具体的に決めることができます。
最近では、舌下免疫療法という、アレルギーの原因物質を少量ずつ体内に取り入れることで、アレルギー反応を起こしにくくする治療法もあります。5歳以上で行うことができるこの治療法は、スギ花粉症とダニによる通年性アレルギー性鼻炎に効果が期待でき、お子さんの症状を根本から改善できる可能性があります。舌下免疫療法は毎日お薬を舌の下に含んでいただく必要があり、長期(5年)にわたる治療になりますが、体質改善を目標とする治療です。
当クリニックでは小児(5歳以上)も成人も舌下免疫療法を行うことができます。親子で取り組むとお互いに確認しあうことで5年という長い期間もしっかり継続することができます。
当院Blog:スギ花粉症に対する舌下免疫療法
当院Blog:ダニアレルギーに対する舌下免疫療法
当クリニックでは、お子さんの症状や生活スタイルに合わせて、最適な治療法を一緒に考えていきます。アレルギー性鼻炎は、お子さんにとってつらい症状ですが、適切な治療と対策で症状をコントロールし、快適な毎日を送ることができます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)