お子さんが熱を出すと、心配になりますよね。「どこか悪いんじゃないか」「どうしてあげたらいいんだろう」「様子見るべき?救急に受診すべき?」と、不安でいっぱいになるお気持ち、よく分かります。
当クリニックにも、「熱が出たんです!」と慌てて駆け込んでこられる方がたくさんいらっしゃいます。でも、大丈夫。お子さんの発熱は、体がウイルスや細菌と戦っている証拠。正しい知識を持って冷静に対応すれば、必要以上に焦ることはありません。
このブログでは、お子さんの発熱時のホームケア、受診の目安、考えられる病気、そして「熱性けいれん」について、日本小児科学会認定小児科専門医の視点から分かりやすくお伝えします。

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熱が出た! まずは落ち着いてできるホームケア
お子さんが熱を出した時、ご家庭でできるケアはたくさんあります。基本は、お子さんが快適に過ごせるようにサポートしてあげることです。
1. 水分補給をしっかり!
熱が出ると汗をかきやすくなり、脱水になりやすいので、こまめな水分補給が最も大切です。
- 何を飲ませる?
- 湯冷まし、麦茶、ほうじ茶など、カフェインを含まないものがおすすめです。
- 食欲がない時は、イオン飲料(OS-1やアクアライトなど)や、リンゴジュースなども良いでしょう。
- 無理にたくさん飲ませる必要はありません。スプーンで少量ずつでも、回数を多く与えてください。
- こんなサインに注意!
- おしっこの量が減った、色が濃くなった
- 唇がカサカサしている
- 泣いても涙が出ない
- ぐったりしている これらのサインが見られたら、脱水の可能性があります。
2. 涼しく、快適な環境を整える
- 薄着にする:熱がこもらないように、厚着は避けてください。肌着1枚くらいが目安です。
- 室温を調整する:暑すぎず、寒すぎない、**25〜27℃**くらいが快適です。エアコンや扇風機を上手に使いましょう。ただし、直接風が当たらないように注意してください。
- 汗をかいたら着替えさせる:汗で体が冷えてしまうので、こまめに着替えさせてあげましょう。
3. 食事は無理に食べさせなくてOK
熱がある時は食欲が落ちることがほとんどです。無理に食べさせる必要はありません。
- 消化の良いものを少量ずつ:おかゆ、うどん、ゼリー、プリン、フルーツなど、お子さんが食べられるものを与えましょう。
- 食べられない時は水分だけでもOK:食べられなくても、水分さえしっかり摂れていれば大丈夫です。
4. 嫌がらないなら体を冷やす
熱が高い時に、お子さんが嫌がらないようであれば、体を冷やしてあげると少し楽になります。
冷却シートでの冷却効果はあまりなく、おでこに張った冷却シートがはがれて顔に移動した場合は窒息や異物誤飲の可能性がありますので注意が必要です。
- 冷やす場所:首の付け根、脇の下、足の付け根(太い血管が通っている場所)
- 方法:水で濡らしたタオルや、保冷剤をタオルで包んだものなどを当ててあげましょう。ただし、嫌がる場合は無理に冷やす必要はありません。熱の上がり始めは悪寒(寒気)がするので、体を温めてあげると良い場合もあります。
受診の目安は? どんな時に病院に行くべき?
お子さんの熱が高いと、「すぐに病院に行った方がいいのかな?」と迷いますよね。もちろん、心配な時はいつでもご相談ください。しかし、すべての発熱で夜間や休日診療に駆け込む必要はありません。
すぐに受診を検討してほしいケース(緊急性が高い場合)
様子を見てから受診を検討して良いケース
- 熱は高いけれど、比較的元気があり、水分も摂れている。
- あやせば笑顔が見られる、遊ぶなど、いつも通りの様子が一部でも見られる。
- 夜間に発熱したが、朝まで待てそうな場合。
受診する際のポイント
- 発熱の経過をメモしていく:いつから熱が出たか、何度まで上がったか、他にどんな症状があったか(咳、鼻水、下痢、嘔吐、発疹など)をメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
- お薬手帳や母子手帳:忘れずに持参してください。
- 気になることはすべて伝える:些細なことでも、心配なことは遠慮なく医師に伝えてください。
考えられる疾患:熱が出るのはどんな病気のサイン?
発熱は、さまざまな病気のサインとして現れます。お子さんの発熱で考えられる主な疾患をいくつかご紹介します。
上記以外にもマイコプラズマ感染症、百日咳、川崎病、中耳炎、副鼻腔炎など様々な病気で熱が出ることがあります。ご心配な場合は、遠慮なくご相談ください。
熱性けいれんについて知っておこう
お子さんの発熱時に、突然体がガクガクと震えたり、白目をむいたりすると、「どうしよう!」とパニックになってしまいますよね。これは多くは「熱性けいれん」と呼ばれるものです。
熱性けいれんとは?
熱性けいれんは、38℃以上の発熱に伴って起こるけいれんのことです。生後6ヶ月から5歳くらいまでの乳幼児に多く見られ、お子さんの10人に1人くらいが経験すると言われています。
- 症状:意識がなくなる、全身または体の一部が突っ張る・ガクガク震える、白目をむく、唇が紫色になるなど。
- 時間:ほとんどの場合、数分以内(5分以内)に治まります。
- 特徴:熱が急に上がるときに起こりやすいです。多くは一度きりで、後遺症を残すことはほとんどありません。
熱性けいれんが起こってしまったら
落ち着いて、以下の対応をしてください。
- 安全を確保する:
- お子さんを平らな場所に寝かせ、周囲の危険なもの(家具の角など)を取り除きます。
- 衣類を緩め、呼吸しやすいようにしてあげましょう。
- 無理に体を抑えつけないでください。口の中に指や物を入れないでください。
- 時間を計る:けいれんが始まった時間を正確に記録してください。
- 吐物による窒息に注意:顔を横向きにし、吐いたものが喉に詰まらないようにしましょう。
- けいれんが治まったら:
- 熱性けいれんの多くは数分で治まります。
- けいれんが治まったら、意識や呼吸を確認し、落ち着いて医療機関を受診してください。
どんな時に救急車を呼ぶべき?(熱性けいれんで特に注意が必要な場合)
- けいれんが5分以上続く場合
- けいれんが何度も繰り返す場合
- けいれんが治まっても、意識が戻らない、ぐったりしている場合
- 初めての熱性けいれんで、発熱が38℃未満の場合
- けいれん後も左右の目の動きがおかしいなど、いつもと様子が違う場合
これらの場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
最後に:不安な時はいつでもご相談ください
お子さんの発熱は、親御さんにとって非常に心配なものです。でも、多くのお子さんが元気に回復していきます。ご家庭での見守りが大切ですが、少しでも「いつもと違うな」「心配だな」と感じたら当クリニックにご相談ください。
私たち「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」は、お子さんとご家族の健やかな成長をサポートするため、エビデンスに基づいた適切な診療と、分かりやすく優しい説明を心がけています。
お子さんの熱で困った時には、いつでもお気軽にご連絡ください。

当院の外観写真
川崎市中原区
アクセス:武蔵小杉、新丸子、元住吉、武蔵中原、日吉
武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
院長 大熊 喜彰