ブログ
Blog
Blog
「昨日までは元気だったのに、急におなかを壊して…」
こどもの下痢は、育児中によく出会うトラブルのひとつです。特に保育園や幼稚園に通い始めたお子さんは、集団生活の影響もあり、感染性の下痢を繰り返すこともあります。
今回は、日本小児科学会認定小児科専門医の立場から「こどもの下痢の原因」や「受診の目安」、そして「家庭でできるケア」について、わかりやすくお話しします。
こどもの下痢の原因には、さまざまなものがありますが、主に次のようなものが挙げられます。
最も多い原因です。ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどが有名で、冬場に流行することが多いです。嘔吐や発熱を伴うことも多く、便が水のようになることもあります。
カンピロバクターやサルモネラ、病原性大腸菌(O157など)が原因の場合は、血便が出たり、腹痛が強くなることもあります。食中毒の一種として夏に多く見られます。
特定の食品が原因で下痢を引き起こすことも。ミルクや乳製品で下痢をする場合、乳糖不耐症の可能性があります。離乳食の開始時期に見られることも。
抗生物質の服用中や服用後に腸内のバランスが崩れ、下痢になることもあります。
環境の変化やストレスでも一時的に下痢をすることがあります。小学校の入学や引っ越しなどの時期に見られることがあります。
以下のような場合は早めに医療機関を受診しましょう。
ぐったりしている、顔色が悪い
尿が出ていない(6時間以上)
何度も嘔吐して水分がとれない
高熱(38.5℃以上)が続いている
血便が出ている
おしりがただれて痛がっている
生後3ヶ月未満の赤ちゃんで下痢がある
特に脱水症状(唇が乾いている、涙が出ない、泣いても声が弱いなど)は、命に関わることもあるので注意が必要です。
下痢のときは水分と電解質が失われるため、経口補水液(OS-1など)をこまめに飲ませてください。お茶やジュースよりも、塩分と糖分が入っているものが望ましいです。
食欲がないときは無理に食べさせなくても大丈夫。食べられるようになってきたら、おかゆやうどん、りんごのすりおろしなど、消化の良いものから始めましょう。
下痢が続くとおしりがかぶれて痛がる子もいます。シャワーでやさしく洗い、ワセリンなどで保護してあげるとよいでしょう。
→元気があり、水分がとれていれば様子を見てOK。ただし、3日以上下痢が続く場合や、おしりがただれて痛がる場合は受診をおすすめします。
→乳児の場合、緑色のうんちはよくあること。回数が多くなったり、水っぽくなってきたら注意が必要です。
→原則、ウイルス性の下痢に下痢止めは使いません。菌やウイルスを外に出すために体が下痢を起こしているため、止めてしまうと逆効果になることも。
→嘔吐・下痢が止まり、食事・水分がしっかり摂れるようになったら登園OKとされることが多いですが、園の基準も確認しましょう。
こどもの下痢は珍しいものではありませんが、状態によっては注意が必要なサインも含まれています。
「元気はあるか?」「水分がとれているか?」「何日続いているか?」を見極めて、受診すべきか判断していきましょう。
また、家庭での適切なケアで回復を早めることができます。不安なときは、遠慮せずご相談ください。
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)