え?!魚を食べたらブツブツが?!知っておきたい「魚アレルギー」「アニサキスアレルギー」「ヒスタミン中毒」と、実は食べられるかも?な意外なヒント - 中原区、武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

ご予約・お問い合わせ
tel.044-739-0888
  • WEB予約
  • ご意見箱
所在地
神奈川県川崎市中原区
小杉町2-228-1-1F
パークシティー武蔵小杉
ザガーデンタワーズウエスト

ご意見箱

MENU

え?!魚を食べたらブツブツが?!知っておきたい「魚アレルギー」「アニサキスアレルギー」「ヒスタミン中毒」と、実は食べられるかも?な意外なヒント - 中原区、武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

tel.044-739-0888

ブログ

Blog

え?!魚を食べたらブツブツが?!知っておきたい「魚アレルギー」「アニサキスアレルギー」「ヒスタミン中毒」と、実は食べられるかも?な意外なヒント

当クリニックは、「家族とともに未来を担うこども達の健やかな成長と幸せを目指します」という理念のもと、日々お子さんたちの診療にあたっています。日本小児科学会認定小児科専門医および日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が、お子さんの健やかな成長をサポートできるよう、エビデンスに基づいた分かりやすい説明と、お子さん一人ひとりに合わせた優しい診療を心がけています。

さて、お子さんの食事は親御さんにとって大きな関心事ですよね。「今日は何を食べさせようかな?」「ちゃんと栄養が摂れているかな?」など、日々頭を悩ませている方も多いと思います。
そんな中、もしお子さんが魚を食べて急に体にブツブツが出たり、顔が腫れてしまったりしたら…親御さんとしては、とても心配になりますよね。「魚アレルギーかな?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、お子さんが魚を食べてアレルギー症状が出たときに考えられる、「3つの病態」について分かりやすく解説していきたいと思います。そして、「魚アレルギー」と診断されても、実は食べられる可能性がある魚製品についても、具体的なヒントをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

 

魚を食べた後の「あれ?何かおかしい…」その症状、もしかして?

お子さんが魚を食べた後、次のような症状が出たら、アレルギー反応の可能性があります。

  • 皮膚の症状: 蕁麻疹(じんましん:蚊に刺されたような赤く盛り上がった発疹)、湿疹、かゆみ、赤み、顔や唇の腫れ
  • 消化器の症状: 嘔吐、下痢、腹痛
  • 呼吸器の症状: 咳、ゼーゼーする息、息苦しさ
  • 目の症状: 目の充血、かゆみ
  • 鼻の症状: 鼻水、鼻づまり、くしゃみ

これらの症状は、魚を食べてすぐに現れることもあれば、1-2時間経ってから現れることもあります。もし、これらの症状が強く出たり、複数の症状が同時に現れたりする場合には、緊急性の高い「アナフィラキシー」という状態の可能性もありますので、すぐに医療機関を受診してください。

 

【重要!】魚を食べてアレルギー症状が出たときに考えられる3つの病態

では、ここからが本題です。魚を食べてアレルギー症状が出た場合、主に次の3つの病態が考えられます。

 

1.本当の「魚アレルギー」(IgE抗体性アレルギー)

これは、皆さんが一番イメージしやすい「アレルギー」のことです。特定の魚に含まれるタンパク質に、お子さんの体が過剰に反応してしまう状態を指します。

魚アレルギーの主な原因となるタンパク質は、「パルブアルブミン」や「コラーゲン」という物質です。このパルブアルブミンは、ほとんどの魚に含まれており、その含有量が多いといわれているのがキンメダイ、カマス、メバル、イサキ、マダイ、アジなど小型の魚です。一方、含有量が少ないのは、ホッケ、サケ、カツオ、マグロ、サメ、エイなどの大型の魚です。

お子さんの体は、パルブアルブミンを「有害なもの」と認識し、IgE抗体という物質を作り出してしまいます。そして、次に同じ魚を食べたときに、このIgE抗体がヒスタミンなどのアレルギー症状を引き起こす物質を放出し、蕁麻疹や嘔吐などの症状が現れるのです。

魚アレルギーは鶏卵や小麦などのアレルギーと違い、年齢とともに自然に治る可能性は低いため、症状が出てしまう魚の種類・量・調理方法は避けることになります。島国である日本ですべての魚を除去することは現実的ではないので、逆にいえば、食べても症状が出ない魚の種類・量・調理方法を探すことが重要です。

具体例:

  • 2歳のAちゃんは、初めてサケを食べた数分後、全身に真っ赤な蕁麻疹が出て、とてもかゆがりました。以前、タラを食べた時にも同じような症状が出たことがあり、血液検査の結果、サケとタラのパルブアルブミンに対するIgE抗体が高いことが分かりました。これは典型的な「魚アレルギー」のケースです。
  • 5歳のBくんは、いつもお寿司屋さんでマグロを食べていたのに、ある日突然、口の周りが赤くなり、少し息苦しそうになりました。血液検査でマグロに対するIgE抗体が陽性だったため、魚アレルギーと診断されました。

 

2.「アニサキスアレルギー」

「アニサキス」という言葉、最近耳にする機会が増えたかもしれませんね。アニサキスは、サバ、アジ、イカ、サケなどの魚介類に寄生する寄生虫です。

通常、生きたアニサキスを食べてしまうと、胃や腸の壁に食い込み、激しい腹痛や嘔吐を引き起こす「アニサキス症」という病気になります。しかし、お子さんによっては、このアニサキスの体液に含まれるタンパク質にアレルギー反応を起こすことがあります。これが「アニサキスアレルギー」です。
アニサキスアレルギーの場合、生きたアニサキスだけでなく、加熱して死んだアニサキスであっても、そのタンパク質が体内に残っていればアレルギー症状が出ることがあります。そのため、しっかりと加熱調理された魚でも症状が出ることがあり、注意が必要です。

具体例:

  • 4歳のCちゃんは、お刺身のイカを食べた翌日、全身に蕁麻疹が出ました。以前、シメサバを食べた時にも同じ症状が出たことがあり、血液検査でアニサキスに対するIgE抗体が陽性でした。これは、アニサキスアレルギーの可能性があります。
  • 7歳のDくんは、焼きサケを食べた後、数時間してから腹痛と下痢の症状が出ました。アレルギー検査の結果、アニサキスに対するIgE抗体が高値であることが判明し、アニサキスアレルギーと診断されました。

 

3.「ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)」

これは、アレルギー反応とは少し異なるのですが、魚を食べてアレルギーとよく似た症状が出るため、混同されやすい病態です。

サバ、マグロ、カツオ、イワシなどの「赤身魚」には、ヒスチジンというアミノ酸が多く含まれています。魚が鮮度が落ちてくると、魚の表面にいる細菌がヒスチジンを分解し、「ヒスタミン」という物質を大量に作り出します。
このヒスタミンを多く含んだ魚を食べると、アレルギー症状とよく似た、顔の紅潮、蕁麻疹、頭痛、めまい、吐き気などの症状が出ることがあります。これは、体内で過剰になったヒスタミンが、アレルギー反応と同じように血管を広げたりする作用があるためです。

ヒスタミン食中毒は、アレルギー反応ではないので、体質的なアレルギーとは異なり、誰にでも起こる可能性があります。鮮度の悪い魚を食べた時に起こりやすいのが特徴です。

具体例:

  • 6歳のEくんは、家族でバーベキューをした時に、少し常温に置いてあったカツオのたたきを食べた後、顔が真っ赤になり、体が痒いと言い出しました。一緒に食べたお父さんも同じような症状が出ており、これはヒスタミン食中毒の可能性が高いと診断されました。
  • 3歳のFちゃんは、スーパーで買ったアジの刺身を食べた後、口の周りが赤くなり、じんましんが出ました。そのアジは、少し古くなっていた可能性があり、ヒスタミン食中毒が疑われました。

 

ヒスタミン食中毒を防ぐための4つのポイント

お子さんがヒスタミン食中毒にならないよう、ご家庭で気をつけてほしいことがいくつかあります。とっても簡単なので、ぜひ覚えておいてくださいね!

 

1. 買ったらすぐに冷蔵庫へ!

スーパーや魚屋で魚を買ってきたら、常温で放置するのは厳禁です。お家に帰ったら、すぐに冷蔵庫に入れてください。

 

2. エラと内臓は早めに取り除こう!

魚のエラや内臓には、ヒスタミンのもとであるヒスチジンが多く含まれます。魚を買ってきたら、できるだけ早くエラと内臓を取り除いてください。

 

3. 「あれ?」と思ったら食べないで!

もし、魚の色がいつもと違ったり、変な匂いがしたり、「これ、ちょっと鮮度が落ちてるかも?」と感じたりしたら、もったいないと思わずに処分してください。ヒスタミンは一度できてしまうと、加熱しても分解されません。残念ですが、お子さんの安全のためには食べないのが一番です。

 

4. 口に入れたときに「ピリピリ」したら要注意!

ヒスタミンがたくさん含まれている魚を食べると、唇や舌の先に「ピリピリ」「チクチク」といった、いつもと違う刺激を感じることがあります。もし、お子さんがそんなサインを出したら、すぐに食べるのをやめさせて、その魚は捨ててください。これは、体が「これは危ないよ!」と教えてくれているサインなんです。

 

魚アレルギーでも「これは食べられるかも!?」意外な加工品のヒント!

さて、お子さんが魚アレルギーと診断されてしまうと、「もう魚は一切食べられないのかな…」と心配になる親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、ご安心ください!魚アレルギーと診断されても、調理法や加工方法によっては食べられる可能性があるものもあります。

先ほどお話ししたように、魚アレルギーの主な原因は「パルブアルブミン」というタンパク質です。このパルブアルブミンは、熱に強く、水に溶けやすいという性質を持っています。この性質が、実は私たちの食卓を豊かにしてくれるヒントになるんです。

  • かつおだしなどの「だし」は大丈夫なことが多い!
    「うちの子、かつおだしのお味噌汁もダメなのかな?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、かつおだしなどの「だし」は、魚のタンパク質を分解して「アミノ酸」を抽出したものです。パルブアルブミンのような大きなタンパク質はほとんど残っていないため、魚アレルギーがあっても食べられることが多いです。主治医に確認してみましょう!
  • 缶詰などの「高温・高圧処理」された魚は症状が出にくい!
    ツナ缶やサバ缶など、缶詰の魚はとても便利ですよね。これらの缶詰は、製造過程で高温・高圧処理が施されています。この処理によって、パルブアルブミンがアレルギー反応を起こしにくい状態に変化するため、アレルギー症状が出にくいとされています。もちろん、症状の程度には個人差がありますが、試してみる価値はあるかもしれません。
  • 練り物なども食べられる可能性が!
    ちくわやかまぼこなどの「練り物」も、魚肉を水にさらす工程を経て作られています。パルブアルブミンは水に溶けやすい性質があるため、この水にさらす工程でアレルギーの原因となるパルブアルブミンが洗い流され、減っている可能性があります。そのため、練り物なども、アレルギー症状が出にくく食べられる可能性があります。

もちろん、これらの情報は一般的なものであり、お子さんのアレルギーの程度や体質によって症状の出方は異なります。必ず事前にかかりつけの小児科医やアレルギー専門医と相談し、指示に従って少量ずつ試すようにしてください。

 

まとめ:大切なのは、正しく知って、適切に対応すること

お子さんが魚を食べてアレルギー症状が出た時、考えられる3つの病態は、

  1. 本当の「魚アレルギー」
  2. 「アニサキスアレルギー」
  3. 「ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)」

でした。これらの病態はそれぞれ原因が異なり、対応も異なります。
もしお子さんに魚アレルギーが疑われる症状が出たら、まずは速やかに医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。当クリニックでは、お子さんのアレルギーについて、丁寧な問診と検査を行い、お子さんとご家族にとって最適な治療方針を一緒に考えていきます。

そして、たとえ魚アレルギーと診断されても、今回ご紹介したように、調理法や加工品によっては食べられる可能性があるものもあります。諦めずに、かかりつけ医と相談しながら、お子さんの食卓を豊かにする工夫を一緒に探していきましょう。

何か不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

<参考>
兵庫医科大学病院HPもっとよく知る病気ガイド「魚アレルギー」
長崎大学病院皮膚科・アレルギー科「魚介アレルギー」
厚生労働省HP「ヒスタミンによる食中毒について」

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

詳しい医師紹介を見る  クリニックの予約を取る

お知らせ

 
 

ブログカテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ