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あれ?風邪じゃなさそうだけど咳が止まらない…子どもの長引く咳、その原因と対処法 - 中原区、武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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あれ?風邪じゃなさそうだけど咳が止まらない…子どもの長引く咳、その原因と対処法

季節の変わり目や肌寒い季節になると、お子さんの咳がなかなか治まらず、「あれ?風邪じゃなさそうなのになんでだろう?」と心配される親御さんがとても多くいらっしゃいます。熱もないし、鼻水もひどくない。でも、コンコン、ゴホゴホと咳だけが続く、夜寝付きにくそう…そんな時、どうしたらいいのか迷ってしまいますよね。

当院では、「小児の咳嗽診療ガイドライン2025」を参考に、お子さんの長引く咳に対して問診や診察、さまざまな検査にて専門的に対応しています。今回は、お子さんの長引く咳に隠された様々な原因と、ご家庭でできるケア、そして「これは病院に行った方がいいかな?」と判断するポイントについて、小児科医の視点から分かりやすくお伝えします。


 

「風邪じゃないのに咳が続く」よくある複数の理由

年齢にもよりますが、普通の風邪による咳は通常1週間から10日程度で落ち着くことが多いです。それなのに、2週間以上咳が続いているようでしたら、風邪以外の原因が考えられます。様々なケースが考えられますが、代表的なものを見ていきましょう。

 

1. 気管支喘息(ぜんそく)の可能性

お子さんの長引く咳で、まず疑われるのが気管支喘息です。特に夜間や明け方に咳が出やすかったり、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった呼吸音が聞こえたりする場合は、注意が必要です。
喘息は、空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こし、敏感になっている状態です。風邪をひいたり、アレルギーの原因物質(ダニ、ハウスダスト、花粉など)を吸い込んだり、季節の変わり目や気圧の変化などがあると、気道がさらに狭くなり咳や呼吸困難の症状が出ます。

  • こんな咳に要注意!
    • 夜間や明け方に咳がひどくなる
    • 走ったり、運動したりすると咳が出やすい
    • 季節の変わり目に咳が出やすい
    • アレルギー体質(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎など)がある
    • 家族に喘息の人がいる

 

2. 咳喘息(せきぜんそく)

「喘息ではないけれど、咳だけが長引く」というお子さんの場合、咳喘息の可能性も考えられます。咳喘息は、典型的な喘息のような「ゼーゼー」という呼吸音(喘鳴)がなく、ひたすら咳だけが続くのが特徴です。
放置すると喘息に移行することもあるため、早めに適切な治療を始めることが大切です。特に、市販の咳止めが効かない場合は、咳喘息の可能性があります。

 

3. 後鼻漏(こうびろう)による咳(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)

意外に思われるかもしれませんが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう症)も長引く咳の原因になります。鼻水が喉の奥に流れ落ちて、喉を刺激することで咳が出やすくなるのです。この状態を「後鼻漏」と言います。
特に、ドロッとした鼻水が常に出ている、鼻をよくこする、夜になると咳がひどくなる、といった症状がある場合は、耳鼻科的な問題も視野に入れる必要があります。

  • こんな症状もありませんか?
    • 鼻水が喉に流れる感じがする
    • 鼻づまりが慢性的にある
    • 喉の奥に痰が絡むような咳をする
    • 目や鼻がかゆい

 

4. 感染後咳嗽(かんせんごがいそう)

これは、風邪などの呼吸器感染症にかかった後、ウイルスによる気道の炎症が長く残り、咳だけが続く状態です。感染自体は治まっているのに、気道が敏感になっているため、少しの刺激でも咳が出やすくなります。通常は数週間で自然に治まることが多いですが、あまりに長引く場合は他の原因を考える必要があります。

 

5. 単純に「風邪を繰り返している」だけの場合

乳幼児期のお子さんは、大人と比べて免疫力が未熟なため、驚くほど頻繁に風邪をひきます。特に集団生活が始まると、次から次へと新しいウイルスをもらってきてしまい、咳や鼻水が2〜4週間続くことも珍しくありません。「せっかく治ったと思ったらまた…」と感じるのは、親御さんの感覚としては正しいことが多いのです。
これは病気というよりも、免疫を獲得していく過程で通る「道のり」のようなものです。熱がなく、元気に過ごせているようであれば、少し様子を見てあげても大丈夫なことが多いでしょう。

 

6. 特定の感染症による咳(マイコプラズマ、百日咳など)

一般的な風邪とは異なる、特定の細菌やウイルスによる感染症が原因で咳が長引くこともあります。

  • マイコプラズマ肺炎:特徴的な咳として、乾いた咳が長く続き、夜間にひどくなる傾向があります。熱が出ないこともあり、診断が難しい場合もあります。
  • 百日咳:ワクチンを接種していてもかかることがあり、特に乳児では命に関わる重篤な経過をたどることもある感染症です。特徴的なのは、コンコンコン…と短い咳が連続し、最後に大きく息を吸い込む際に「ヒュー」という笛のような音がする(吸気性笛声:きゅうきせいてきせい)ことです。最近は典型的な症状が出ないことも増えています。

これらの感染症は、診断や治療が一般の風邪とは異なるため、医療機関での適切な判断が必要です。

 

7. 胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)

あまり知られていませんが、胃の中の酸が食道に逆流し、それが刺激となって咳を引き起こすことがあります。特に、食後に咳が出やすい、夜間に咳き込む、胸焼けや吐き気がある、といった症状がある場合に疑われます。乳幼児では吐き戻しが多い子にみられることがあります。


 

当院でできる検査について

当院では、お子さんの長引く咳の原因をしっかり突き止めるために、必要に応じて以下のような検査を行うことができます。

  • 呼吸機能検査:7歳以上のお子さんで多くの場合、施行できます。肺や気管支の状態や機能を客観的に評価し、喘息の診断や治療効果の確認に役立ちます。
  • アレルギー検査指先からの少量の採血で、お子さんのアレルギー体質やアレルギーの原因物質(アレルゲン)を調べることができます。痛みが少なく、小さなお子さんでも安心して受けられます。
  • 胸部レントゲン写真:必要に応じて、提携している医療機関で胸部のレントゲン撮影をお願いしています。肺炎やその他の肺の病気がないかを確認するために重要です。
  • 各種感染症迅速検査溶連菌、マイコプラズマ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、COVID-19など、疑われる感染症に応じて、その場で迅速に検査を行い、早期診断・早期治療につなげます。
  • 外注検査百日咳、サイトメガロウイルス、鼻汁好酸球など、より詳しい検査が必要な場合や、特定の感染症が疑われる場合は、外部の検査機関に依頼します。結果が出るまでにお時間をいただくことがありますが、正確な診断のために大切な検査です。

これらの検査を適切に組み合わせることで、お子さんの長引く咳の「本当の原因」を見つけ出し、それぞれのお子さんに合った治療方針を立てていきます。


 

ご家庭でできる咳のケアと注意点

長引く咳はつらいものですが、ご家庭でできるケアもたくさんあります。

  1. 部屋の湿度を保つ:乾燥していると喉や気管が刺激されやすくなります。加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして、湿度を50~60%に保つようにしましょう。
  2. 水分をこまめに摂らせる:喉の乾燥を防ぎ、痰を出しやすくするために、水やお茶、スポーツドリンクなどでこまめに水分補給をさせましょう。
  3. 安静にする:激しい運動は咳を誘発することがあります。無理のない範囲で、お子さんの好きな遊びでゆっくり過ごさせてあげてください。
  4. ハウスダストやダニ対策:喘息やアレルギーの可能性がある場合、これらのアレルゲンを減らすことが重要です。こまめな掃除や換気を心がけ、寝具も清潔に保ちましょう。
  5. 刺激物を避ける:タバコの煙や強い匂いなどは、咳を誘発することがあります。お子さんの周りでは喫煙を避けましょう。

 

「これは病院に行った方がいい!」判断のポイント

「ちょっと咳が長引いているな…」と感じたら、まずはご家庭でのケアを試みてください。しかし、以下のような症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

  • 呼吸が苦しそう、肩で息をしている
  • 「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった呼吸音がある
  • 顔色が悪く、唇が紫色になっている
  • 意識がはっきりしない、ぐったりしている
  • 咳で眠れない日が続いている
  • 熱は下がったのに咳だけがどんどんひどくなる
  • 食欲がなく、水分もあまり摂れていない
  • 2週間以上咳が続いている(特に市販薬で改善しない場合)
  • 短い咳が連続し、最後に「ヒュー」という笛のような音がする(百日咳の可能性)

 

最後に

お子さんの長引く咳は、親御さんにとってもご本人にとっても大変つらいものです。しかし、その原因を見極め、適切な対策をとることで、症状は必ず改善に向かいます。
「もしかして?」と感じたら、決して自己判断せず、お気軽に当クリニックにご相談ください。お子さんの症状を詳しくお伺いし、上記のような検査も活用しながら、最適な診断と治療法をご提案させていただきます。安心して子育てができるよう、私たちが全力でサポートいたします。

ご不明な点がありましたら、いつでもお声がけください。

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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