「ちょっとピリピリするような痛みがあるな」
「赤いぶつぶつができてきたな」
体の片側にチクチク、ピリピリとした痛みを伴う赤い発疹が出てきたら、それはもしかすると「帯状疱疹」かもしれません。
「たいじょうほうしん」という名前、聞いたことがあるでしょうか?
今回は、この帯状疱疹について、当院のブログで詳しくお話ししていきたいと思います。

ChatGPTで作画
帯状疱疹って、どんな病気?
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で起こる病気です。
「え、水ぼうそうって子どもの病気じゃないの?」
そう思われる方も多いかもしれませんね。
実は、子どもの頃に水ぼうそうにかかると、ウイルスは体から完全に消えるわけではありません。神経節という場所にひっそりと潜伏し、あなたの免疫力が低下するのをじっと待っているのです。そして、過労やストレス、病気、あるいは加齢などが原因で免疫力が低下すると、この潜伏していたウイルスが再び活動を始めます。
ウイルスは神経に沿って移動し、皮膚に到達することで、帯状の赤い発疹や水ぶくれを引き起こします。
これが帯状疱疹です。
帯状疱疹の症状:初期症状を見逃さないで!
帯状疱疹の典型的な症状は、次の通りです。
1. 体の片側に出るチクチク、ピリピリとした痛み
これが帯状疱疹の最初のサインであることが非常に多いです。発疹が出る数日前から、体の片側、例えば胸、背中、顔などに、神経に沿った痛みが現れます。
「電気が走るような痛み」「焼けつくような痛み」と表現されることもあります。
この段階ではまだ発疹がないため、「肩こりかな?」「神経痛かな?」と勘違いしてしまうことも少なくありません。
2. 帯状に広がる赤い発疹と水ぶくれ
痛みが始まった後、数日経つと、痛みのあった場所に赤い発疹が現れ、やがて小さな水ぶくれができます。この発疹は体の中心線を越えることはほとんどなく、体の片側に帯状に広がるのが特徴です。
「まるで帯を巻いたよう」に見えることから、「帯状疱疹」という名前がつきました。
3. 痛みは発疹が消えてからも続くことも
発疹や水ぶくれは、通常2~4週間でかさぶたになり、治っていきます。しかし、厄介なことに、痛みだけが長期間残ってしまうことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic neuralgia)」といいます。
この痛みは、時に数ヶ月、あるいは数年にもわたって患者さんを苦しめることがあり、生活の質を著しく低下させてしまうこともあります。
帯状疱疹後神経痛は、高齢の方ほど発症しやすく、重症化しやすい傾向があります。
なぜ50歳を過ぎたら要注意なの?
帯状疱疹は、年齢とともに発症リスクが高まります。
20-40代の働き盛りの方でも、寝不足や疲れがたまると帯状疱疹を発症することがあります。特に50歳を過ぎると、その発症率は急激に上昇します。
これは、加齢とともに私たちの免疫力が自然と低下していくためです。50代の方の8割は、帯状疱疹を発症する可能性があると言われています。
「あれ、もしかして…」と思った時、迷わず皮膚科を受診してください。
帯状疱疹の治療:早期治療がカギ!
帯状疱疹は、早期に治療を開始することが非常に重要です。なぜなら、治療開始が早ければ早いほど、ウイルスの増殖を抑え、発疹や痛みの重症化を防ぐことができるからです。
特に、発疹が出てから72時間以内(3日以内)に抗ウイルス薬の服用を開始することが望ましいとされています。
「ちょっとした痛みだから…」と様子を見てしまうと、その分治療開始が遅れ、帯状疱疹後神経痛(PHN)のリスクが高まってしまいます。
「早期発見、早期治療」を心がけましょう。
帯状疱疹の予防:50歳以上の方に「シングリックス」を強くお勧めします
「帯状疱疹になりたくないな…」
帯状疱疹は、予防できる病気です。当院では、50歳以上の方を対象に、帯状疱疹の予防ワクチン「シングリックス」を強くお勧めしています。
シングリックスって、どんなワクチン?
シングリックスは、帯状疱疹の発症を予防するだけでなく、万が一発症しても重症化を防ぎ、特に帯状疱疹後神経痛を予防する効果が非常に高いと報告されています。
2回の接種が必要で、1回目から2ヶ月以上の間隔を空けて2回目を接種します。
このワクチンは不活化ワクチンであり、生ワクチンとは異なり、免疫抑制剤を使用している方など、幅広い方が接種可能であることが大きなメリットです。
2回の接種で10年以上効果が持続します。
接種費用について
シングリックスは、公費助成制度が利用できる場合があります。
お住まいの市区町村によって、助成の対象年齢や金額が異なりますので、お住まいの自治体のホームページでご確認ください。
もちろん、公費接種での年齢を待たずに自費で接種することも可能です。
自費の場合:50歳以上
公費による補助:65歳以上
川崎市HP:「帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンの定期接種」
川崎市HP:「令和7年度の川崎市帯状疱疹ワクチン定期接種対象者」
まとめ:あなたのその痛み、放置しないで!
帯状疱疹は、決して珍しい病気ではありません。そして、早期に治療を開始すれば、重症化や後遺症を防ぐことができます。
もし、
- 体の片側にチクチク、ピリピリとした痛みを感じる
- 痛みに続いて、帯状に赤い発疹が出てきた
このような症状や心当たりがある方は、我慢せず、早めに当院にご相談ください。
当院皮膚科は日時指定の予約制です。発熱患者さんとは別のクリーンな待合室と診察室で対応しています。
下記のWeb予約サイトからご予約を取得していただくとともにWeb問診の入力をおねがいいたします。
<参考>
・日本皮膚科学会ガイドライン「帯状疱疹診療ガイドライン2025」
・日本皮膚科学会HP「ヘルペスと帯状疱疹」
・川崎市HP「帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンの定期接種」

当院の外観写真
川崎市中原区
アクセス:武蔵小杉、新丸子、元住吉、武蔵中原、日吉
武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
皮膚科学会認定皮膚科専門医
診療チーム