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近年は厚い夏が続き9月ごろでもかなり気温が高いため、秋・冬の備えとしてのインフルエンザワクチン接種を忘れてしまう方が多いかもしれません。
インフルエンザは、高熱が出てぐったりしたり、周りのお友達にも移してしまわないかヒヤヒヤしたり…。お子さんが辛い思いをする姿を見るのは、親として本当につらいものです。時に、インフルエンザ脳症や重症肺炎などに重症化し、後遺症や命の危険にまで至ることもあるのがインフルエンザウイルス感染症です。
今日は、そんなインフルエンザからお子さんを守るための、最も効果的で大切な方法であるインフルエンザワクチンについて、日本小児科学会認定小児科専門医の立場からお話ししたいと思います。
このブログを読んで、お子様だけでなく家族みんなでインフルエンザワクチンを接種し感染予防・重症化予防することで、一人でも重篤な状態になる子供を減らせたらと考えています。
「毎年インフルエンザワクチンを打っているけど、そもそもなんで毎年必要なの?」そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、インフルエンザウイルスの種類はひとつだけではありません。毎年流行するウイルスの型が少しずつ変化するため、前年に接種したワクチンの効果が持続しないことがあるんです。
まるで、毎年新しい敵が現れるゲームのようなもの。昨年倒した敵の戦い方では、今年現れた新しい敵には勝てないことがありますよね? だからこそ、その年の流行を予測して作られたワクチンを毎年接種することが、お子さんをインフルエンザから守るための最も確実な方法なんです。
インフルエンザワクチンは、「打ったのにインフルエンザにかかった!」という声を聞くこともあり、効果を疑問に思う方もいるかもしれません。少し古いデータですが、2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%でした。しかし、ワクチンの本当の目的は、インフルエンザにかからないことだけではありません。
最も重要なのは、重症化を防ぐことです。インフルエンザにかかっても、ワクチンを接種していれば、高熱が続いたり、肺炎や脳症といった命にかかわるような合併症のリスクを大幅に減らすことができるのです。
ワクチンを打つことは、お子さんの体に「インフルエンザウイルスに対抗するための設計図」を渡してあげるようなものです。ウイルスが侵入してきたら、この設計図をもとに体の免疫システムが素早く「防御ブロック」を作り始めます。ワクチンを打っていない場合は、初めて出会う敵なので、防御ブロックを作るのに時間がかかってしまい、その間にウイルスが体中で暴れてしまいます。
インフルエンザワクチンは、生後6ヶ月から接種することができます。お子さんの年齢によって接種回数やタイミングが少し異なります。また、注射ワクチンと経鼻ワクチンでも異なります。
特に、小さなお子さんや基礎疾患をお持ちのお子さんは、インフルエンザにかかると重症化しやすい傾向があります。そのため、おこさんだけでなく親御さんも含めた家族みんなでの積極的なワクチン接種をおすすめしています。
当院ではお子さんだけでなく、成人の方の接種も受け付けています。
*東京都総合組合保健施設振興協会(東振協)とあまの創建の利用券をご使用いただけます。
*当院では高齢者に対するインフルエンザワクチン接種の助成は使用できません。
①インフルエンザ注射ワクチン
<接種対象と回数>
生後6ヵ月以上13歳未満:2回
13歳以上〜成人:1回
※妊婦さんに関して、すべての妊娠週数で接種していただけます。
<接種間隔>
1回目接種と2回目接種の間隔は、約3~4週間をお勧めしています。
実際の予約は2~5週間の間隔で取得できます。
②インフルエンザ経鼻ワクチン「フルミスト®」
<接種対象と回数>
2~18歳
接種は1回のみ
参照:当院Blog「「フルミスト®」:注射じゃないインフルエンザワクチンのお話」
インフルエンザワクチンと聞くと、腕に「チクッ」と注射されるイメージが強いかもしれません。しかし、当院ではお子さんや親御さんの負担を少しでも減らせるよう、従来の注射のインフルエンザワクチンに加え、経鼻のインフルエンザワクチン(フルミスト)も取り扱っています!
「注射が苦手で、毎年インフルエンザの時期になると憂鬱…」そんなお子さんや親御さんにとって、経鼻インフルエンザワクチンは朗報かもしれません。このワクチンは、注射ではなく、専用の器具を使って鼻腔内に直接噴霧するタイプなので、注射の痛みがありません。
「え? 鼻から入れるの?」と驚かれるかもしれませんが、鼻の粘膜からインフルエンザウイルスが体に入ってくるのと同じように、鼻からワクチンを入れることで、ウイルスが侵入してくる場所で直接免疫をつけられるというメリットもあります。
ただし、経鼻ワクチンには接種できる年齢や、基礎疾患の有無などの条件があります。お子さんに経鼻ワクチンが適しているかどうかは、下記の当院Blogをご確認ください。
参照:当院Blog「【インフルエンザワクチン】従来の注射か、経鼻(フルミスト)か、どっち?」
参照:当院Blog「「フルミスト®」:注射じゃないインフルエンザワクチンのお話」
「ワクチン接種に来たのに、他の病気をもらってしまわないか心配…」
小さなお子さんを持つ親御さんなら、誰もが抱く不安だと思います。当院では、親御さんが安心してワクチン接種を受けられるよう、徹底した感染対策を行っています。
これからも感染対策には最大限の注意を払っていきますのでご安心ください。
ワクチン接種後、一時的に発熱したり、接種部位が赤く腫れたりすることがあります。「副反応」と呼ばれるもので、体が免疫を作る過程で起こる自然な反応です。多くの場合、1~2日程度で自然に治まります。
これらの副反応は、体がインフルエンザウイルスに対する免疫をしっかり作っている証拠でもあります。しかし、ごく稀に重い副反応が起こることもありますので、接種後に気になる症状がある場合は、すぐに当院までご連絡ください。
インフルエンザワクチンは、通常10月から接種が開始されます。本格的な流行が始まる前に接種を済ませておくことが大切です。特に、小さなお子さんの場合は2回接種が必要になるため、早めに計画を立てるようにしましょう。
ご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
お子さんだけでなく、ご家族皆さんがワクチンを接種することも、インフルエンザ対策として非常に重要です。なぜなら、大人からお子さんへインフルエンザが感染することも多いからです。家族みんなでワクチンを接種することで、家庭内での感染を防ぎ、お子さんをインフルエンザから守る「免疫のバリア」を強化することができます。
インフルエンザは、時に重い合併症(脳症、重症肺炎など)を引き起こすこともある、決して侮れない感染症です。しかし、インフルエンザワクチンを接種することで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
もちろん、ワクチンを接種したからといって、100%インフルエンザにかからないわけではありません。手洗いやうがい、適切なマスクの着用など、日頃からの感染対策も引き続き大切です。インフルエンザワクチンは、お子さんを病気から守るための、親御さんからお子さんへの大切なプレゼントだと考えています。今年の冬も、お子さんとご家族が元気に過ごせるよう、ぜひ御家族皆さんでのインフルエンザワクチンの接種をご検討ください。
ご不明な点や不安なことがあれば、いつでも当院にご相談ください。私たち「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」のスタッフ一同、お子さんとご家族の健康を全力でサポートさせていただきます。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)