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「頭が痛い……」
そう訴えるお子さんに、心配になった経験はありませんか?
小児の頭痛は決して珍しいものではありません。しかし、大人の頭痛とは原因や対応が異なる場合もあり、保護者の方が戸惑うことも多い症状です。今回は、こどもの頭痛の原因や注意すべきポイント、治療法、受診のタイミングについて分かりやすくご説明します。
子どもの約3〜4人に1人は、「頭痛」を経験していると言われています。とくに小学校中学年頃から思春期にかけて、頭痛の訴えが増える傾向があります。
大人と違い、子どもは症状をうまく言葉で表現できないことも多いため、「頭が痛い」と言われた時には、その背景にある要因を丁寧に見てあげることが大切です。
ゲームやスマートフォンなど、長時間の画面使用や、姿勢の悪さが引き金になることがあります。また、学校や家庭でのストレスやプレッシャーも、子どもの頭痛に関係していることがあります。
大人と同じように、子どもでも「片頭痛」が起こることがあります。ズキズキとした痛み、吐き気、光や音に敏感になるなどの症状が出るのが特徴です。遺伝的な要因が大きく、家族に片頭痛持ちがいる場合には要注意です。ストレスや睡眠不足、特定の食べ物(チョコレートやチーズなど)がきっかけになることがあります。
発熱や風邪を伴う頭痛、副鼻腔炎による圧迫感、視力の低下による目の疲れなども、子どもの頭痛の原因として見逃せません。
お子さんの頭痛がつらそうなとき、鎮痛薬を検討します。年齢や症状に合わせた安全な使い方が大切です。
アセトアミノフェン
比較的副作用が少なく、乳幼児でも使用できる安全性の高い解熱鎮痛薬です。
イブプロフェン
小学生以上であれば使用されることが多く、痛みや炎症をしっかり抑える効果があります。
※いずれも用量や使用間隔には注意が必要で、市販薬を自己判断で繰り返し使いすぎることは避けてください。
中等度以上の片頭痛発作に対しては、トリプタン製剤(例:スマトリプタン)という薬が使われることもあります。ただし、小児への使用は年齢や体重による制限があるため、小児科専門医の判断が不可欠です。
また、頻繁に片頭痛を繰り返す場合には、予防薬の検討をすることもあります。
以下のような症状を伴う場合は、早めに小児科を受診してください。
突然始まり、強い痛みがある
嘔吐やけいれんを伴う
朝方に頭痛が強く、日中は落ち着く
意識がもうろうとしている、反応が鈍い
頭痛がだんだん頻繁になっている、長く続く
脳の病気や眼科・耳鼻科疾患などが隠れている可能性もあるため、専門的な診察が必要です。
お子さんの頭痛が軽度で、受診が必要な状態でない場合でも、以下のような対策が有効です。
規則正しい生活リズム(睡眠・食事・運動)
長時間のスマホやタブレットの使用を控える
ストレスをためすぎない、気持ちを言葉にできる環境づくり
水分補給をこまめに
また、保護者の方が「いつから」「どんなときに」「どのくらいの頻度で」頭痛があるのかを記録しておくと、診察時の参考になります。
子どもの「頭痛」は、日常的な原因によるものもあれば、まれに重大な病気のサインであることもあります。
「様子を見る」で済ませてよい頭痛かどうか、不安に思ったときには迷わず受診してください。
お子さんの心と体の不調は、表現がとても繊細です。
小さなサインに気づいてあげることが、安心と健康につながります。
Q1. 子どもが頻繁に頭痛を訴えるのですが、病院に行くべきでしょうか?
A. 頻繁な頭痛は、片頭痛やストレスなどが背景にある可能性があります。症状の頻度・強さ・時間帯などを記録し、小児科で一度ご相談ください。
Q2. 市販の頭痛薬は使っても大丈夫ですか?
A. アセトアミノフェンやイブプロフェンは基本的に使用可能ですが、年齢や体重によって適切な量があります。使用前に、医師または薬剤師にご相談ください。
Q3. 学校に行くと頭が痛くなるのは心因性ですか?
A. ストレスや不安が原因となる「緊張型頭痛」や「心因性頭痛」の可能性があります。家庭や学校での環境、心理的な要因も含めて一緒に考えていく必要があります。
Q4. 頭痛だけでなく吐き気もあるのですが、大丈夫でしょうか?
A. 片頭痛の一症状として吐き気を伴うことはありますが、嘔吐を繰り返す・意識がもうろうとしている場合は緊急性があります。受診を検討してください。
Q5. トリプタン製剤はどのようなときに使うのですか?
A. 繰り返す片頭痛で、一般の鎮痛薬では効果が不十分な場合に、医師の判断で処方されることがあります。ただし、小児では年齢に合わせた慎重な使用が必要です。
当院では、小児の頭痛に関するご相談や診察を行っています。心配な症状がある場合は、お気軽にご相談ください。子どもたちの健やかな毎日を、医師として、そして親としてサポートしていきたいと考えています。
<参考>
・日本小児神経学会HP
・日本頭痛学会「小児の頭痛(ガイドライン)」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)