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今回は、日常に潜む危険の中でも、特に相談が多い「子どもの火傷(やけど)」についてお話しします。
実は、火傷ってちょっとした不注意で、あっという間に起こります。そして、場合によっては一生あとが残ることも。でも裏を返せば、「知っていれば防げる」ケースが多いともいえます。
小児科外来では「ちょっと目を離したすきに…」という声を、本当にたくさん聞きます。
その“ちょっと”が、子どもの身体に大きなダメージを与えてしまうことも。
火傷が多い原因として、次のような家庭内のあるある場面が挙げられます。
→ テーブルの端に手を伸ばしてクロスを引っ張る
→ 味噌汁、紅茶、コーヒーなどがこどもの体にかかる
→ コードを引っ張ってケトルが倒れ、熱湯が顔や上半身に。。。
→ 湯気を「けむり」「もや」と思って触ろうとする
→ 指や手のひら、顔に低温火傷を起こすことも
→ 加熱後、火を止めた直後のフライパンを手で触ってしまう
→ IH調理器具でも火傷リスクあり!
→ 「ちょっと置いておいたつもり」が大きな事故に…
加湿器や炊飯器の湯気、あれって実はかなりの温度があります。
とくに蒸気口付近は100℃近い高温になることもあり、触れると一瞬で皮膚が赤くなり、水ぶくれができることも。
しかも、加湿器の蒸気は無色透明。見えにくいので、大人でも「うっかり」触ってしまうことがあります。
昔は「ガス火が消えれば安全」と思われていましたが、今はIH調理器の普及により、「見た目で熱さが分からない」事故も増えています。
例えばフライパンで炒め物をしたあと、そのまま調理台に置いておくとどうなるか?
こどもは、キラキラ光る金属=おもしろそう!と触ってしまう。
一見「火が消えてるから大丈夫」に見えても、熱はかなり残っています。
「起きてから」ではなく、「起こさない」が鉄則。
今日からすぐに見直せるポイントを5つご紹介します。
→ 熱い汁物や飲み物はテーブルの中心部へ配置しましょう。
→ 可能であればコードレスケトルや壁コンセントを活用。
→ 台の上+蒸気口が壁側を向くように。床置きは避けて!
→ IHでも同じく危険。調理後は一度冷水で冷やすのも◎。
→ 氷は使わず、「流水で長く冷やす」が基本です。
火傷をしたお子さんが来院されたとき、いつも我々が思うのは、
「これは、本当は防げたかもしれない火傷だったのではないか?」ということです。
もちろん、誰にでも“うっかり”はあります。
でもその“うっかり”のリスクを減らすことは、ちょっとした配置の工夫や習慣づけで実現できます。
お子さんが安全に成長できる環境をつくること、それが私たち大人の役目だと思います。
そして何より、「自分を責める」より「次に備える」。それがいちばん大切なことです。
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ご自宅の中での“ちょっとした見直し”が、こどもを守る第一歩になります。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)