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「風邪だと思ったらゼイゼイしてきてる……」RSウイルス感染症、パパママが知っておくべきこと

夏本番ですね。最近なんだか熱を出すお子さんが増えていますね。この時期、小児科でよく耳にするのが「RSウイルス」という言葉。数年前までは秋から冬にかけてが流行期でしたが、現在は春から秋にかけて流行が見られるように変わってきています。

「RSウイルス?ああ、名前は聞いたことあるけど…赤ちゃんがかかるやつだよね?」 そう思っているパパやママも多いのではないでしょうか。

確かに、RSウイルスは特に生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、とても注意が必要な病気です。でも、実はこのウイルス、赤ちゃんだけでなく、小さなお子さんから大人まで、誰でも感染する可能性があります。そして、ご家庭で看病するパパママにとっても、その特徴を知っておくことはとても大切です。

今日は、RSウイルス感染症について、

  • どんな病気なのか?
  • どうして赤ちゃんは特に注意が必要なの?
  • もしもかかってしまったら、おうちでどう看病すればいいの?
  • 予防するにはどうしたらいいの?

といった疑問に、小児科医としてわかりやすくお話ししていきたいと思います。


 

1. RSウイルスってどんな病気?

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、日本語では「呼吸器合胞体ウイルス」と呼ばれ、主に鼻や喉、肺といった呼吸器に感染するウイルスです。

主な症状は、熱、鼻水、咳。 これだけ聞くと、ただの風邪と区別がつきにくいかもしれませんね。でも、RSウイルス感染症の咳は、ただの咳とは少し違います。

  • ゼーゼー、ヒューヒューと音がする咳(喘鳴)
  • 咳がひどくて眠れない
  • 呼吸が苦しそう

といった症状が出ることが特徴です。

特に初めて感染した乳幼児では、症状が重くなることが多く、細い気管支が炎症で狭くなり、呼吸が苦しくなる「細気管支炎」や「肺炎」を引き起こすことがあります。


 

2. なぜ赤ちゃんは要注意なの?

RSウイルスは、大人がかかっても「風邪かな?」で済むことが多いです。しかし、生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると、重症化しやすいことがわかっています。

その理由は、赤ちゃんの体の構造にあります。

  • 気管支がとても細い
    赤ちゃんの細い気管支に炎症が起きると、粘膜は腫れて狭くなりそこに痰が溜まり、あっという間に空気が通らなくなって呼吸が苦しくなってしまいます。
  • 自分で痰をうまく出せない
    咳をしたり、喉に詰まったものを吐き出す力が弱いので、痰が肺の中にたまり、呼吸がさらに苦しくなります。
  • 免疫力がまだ弱い
    お母さんからもらった免疫はあっても、RSウイルスに対する免疫は十分ではありません。初めてウイルスに直面するため、体がうまく戦えず、症状が強く出てしまいます。

こんな理由から、特に生まれて間もない赤ちゃんがRSウイルスに感染すると、入院が必要になるケースが少なくありません。


 

3. 検査と治療について

「うちの子、もしかしてRSウイルスかも…?」 そう思われたとき、どうやって診断するのでしょうか?

当院では、迅速診断キットというものを使って、簡単にRSウイルスかどうかを調べることができます。綿棒のようなもので鼻の奥の分泌物をぬぐって検査するもので、インフルエンザの検査と似ています。

ただし、この検査は、入院が必要な重症のお子さんや、重症化するリスクが高い生後1歳未満のお子さんが保険適応となります。すべてのお子さんに検査を行うわけではありませんので、ご理解いただければ幸いです。

そして、RSウイルスには、インフルエンザのようにウイルスそのものをやっつける特効薬が残念ながらありません。

「え、じゃあ治らないの?」 と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。RSウイルス感染症の治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。

  • 熱を下げるお薬(解熱剤)
  • 咳を抑えるお薬
  • 鼻水を止めるお薬

などを使いながら、お子さん自身の免疫力がウイルスと戦ってくれるのをサポートします。

また、呼吸が苦しい場合には、吸入器を使って気管支を広げるお薬を吸入したり、必要に応じて鼻水を吸ったりすることもあります。


 

4. もしもかかってしまったら?おうちでの看病ポイント

もしお子さんがRSウイルス感染症と診断されたら、パパママは不安になりますよね。でも、まずは落ち着いて、おうちでできる看病を頑張りましょう。

【看病の3つのポイント】

  1. こまめな水分補給
    熱があるときや呼吸が速いときは、脱水になりやすいです。母乳、ミルク、イオン飲料、お茶など、お子さんが飲めるものを少量ずつ、こまめに与えましょう。一口飲むだけでもOKです。
  2. 鼻水を吸い取る
    鼻が詰まっていると、呼吸が苦しくなります。市販の鼻水吸引器を使って、こまめに吸ってあげましょう。特に、授乳前や寝る前に吸ってあげると、楽に飲んだり眠ったりできます。
  3. 加湿
    部屋の空気が乾燥していると、鼻水や痰が固まりやすくなります。加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして、湿度を保ちましょう。お風呂の湯気を吸わせてあげるのも効果的です。

そして、一番大切なのは、お子さんの様子をよく観察することです。

  • 食事がとれなくなった
  • ぐったりして元気がない
  • 顔色が悪い
  • 呼吸が速い、ゼーゼー音が大きくなってきた
  • 熱性けいれんを起こした

このような症状が見られたら、すぐにクリニックに相談してください。

当院では、お子さんの症状やご家庭での看病の状況を詳しくお伺いし、重症化している場合は、より専門的な医療機関への紹介も迅速に行っています。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。


 

5. RSウイルスを予防するには?

「赤ちゃんにRSウイルスをうつしたくない!」
「なんとか予防する方法はないの?」

そう考えるのは、パパママとして当然の気持ちです。
ここ数年で妊婦さんに接種する新生児へのRSウイルス予防ワクチンや、出生後に新生児に接種するRSウイルス重症化予防薬が使えるようになっています。
妊娠期から新生児のRSウイルス予防に取り組んでいただきたいと考えています。
詳細は下記の当院Blogをご参照ください。
当院Blog:「【生まれる前から始めてほしい!】赤ちゃんへのRSウイルス感染症予防

もちろん、日々の生活の中でできる感染対策も重症です。それは、手洗い、マスク、そして環境の整備ですね。

  1. 手洗い、そしてうがい
    お子さんに触れる前、食事の準備をする前、外から帰ってきたら、石鹸でしっかりと手を洗いましょう。特に、きょうだいから赤ちゃんにウイルスがうつるケースが多いため、お子さんの手洗いも徹底することが大切です。
  2. 人混みを避ける
    RSウイルスは飛沫感染、接触感染で広がります。流行期は、できるだけ人混みや不特定多数の人が集まる場所への外出を控えましょう。
  3. 看病する側の対策
    もしご家族に風邪症状がある人がいたら、お子さんに接するときはマスクを着用しましょう。タオルを共有しない、こまめに換気をするなども有効です。

 

まとめ

RSウイルス感染症は、特に乳児期前半のお子さんにとっては、重症化するリスクのある、とても注意が必要な病気です。

でも、適切な知識をもって、お子さんの様子を注意深く見守ることが重要です。

当院は、お子さんの小さな体の変化も見逃さないよう、きめ細やかな診療を心がけています。もし、お子さんの体調に少しでも不安なことがあれば、一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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