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お子さんが高熱を出し、なかなか下がらないととても心配になりますよね。
「風邪かな?溶連菌?」と思っていても、実は「川崎病(かわさきびょう)」という、特殊な病気の可能性もあるのです。
今回は、子どもに多い川崎病について、親御さんが知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
川崎病は、主に4歳以下の乳幼児に多く、特に乳児期後期(生後6か月から11ヵ月)に多い病気です。全身の血管に炎症が起こる「血管炎」の一種です。
特に注意が必要なのは、心臓の血管(冠動脈)にも影響を及ぼすことがあるという点。適切な治療を受けても、3%前後の患者さんで心臓の後遺症をきたすことが知られています。再発する方が3-4%みられます。
川崎病の症状は、風邪や溶連菌、アデノウイルスやインフルエンザと似ていることも多いため、診断がすぐにはつかないことが多いです。
以下の症状が5日以上続く高熱とともに見られた場合は、川崎病の可能性があります。
高熱が5日以上続く(解熱剤でも下がりにくい)
目の充血(目やにが出ないのが特徴)
唇が赤くなる・ひび割れる/舌が真っ赤になる(イチゴ舌)
手足が赤く腫れる
発疹、BCG接種部位の発赤
首のリンパ節が腫れる(片側が多い)
すべてが揃わなくても、症状が4つ以上あれば要注意です。
実は、川崎病の原因はまだはっきりわかっていません。
ウイルスや細菌、遺伝的な要因など、さまざまな説がありますが、現時点では特定されていません。
ただし、人にうつる病気ではないため、登園・登校制限は回復後の状態によって判断されます。
川崎病が疑われた場合、できるだけ早く大きな病院(大学病院など)での入院治療が必要です。
主な治療は、免疫グロブリン(IVIG)という点滴や、アスピリンなどの薬を使って、炎症を抑える方法です。重症化が予測される例では、ステロイドが併用されることもあります。
治療の目的は、心臓の血管への影響を最小限に抑えること。
特に冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)という、心臓の血管が「こぶ」のように膨らんでしまう合併症を防ぐために、早期治療がとても大切です。
入院治療が終わっても、しばらくは定期的な心臓のチェック(心エコー検査)が必要です。
なぜなら、治療後に冠動脈に異常が残っていないかを確認する必要があるからです。
✅ 「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、川崎病後のお子さんの心臓超音波(心エコー)によるフォローアップを行っています。
大学病院での入院治療が終わった後も、かかりつけ医として安心してご相談ください。
ケース1:3歳の男の子、5日間高熱が続き、途中から発疹と赤い目が出現
→ 当院を受診。川崎病と診断され、大学病院に入院。幸い、早期治療で後遺症なし。当院でその後の心エコー検査を1回/年で継続中。
ケース2:1歳の女の子、発熱2日目
→ 当院受診。溶連菌迅速検査やアデノウイルス迅速検査を行うも陰性。最初の受診では診断には至らず経過観察。受診日夜からBCG接種部位が赤くなり、発熱4日目から目の充血と指の発赤も見られるようになってきたため再度当院受診。川崎病と診断し大学病院に入院。治療が行われ、心臓の後遺症なし。当院でその後の心エコー検査を1回/年で継続中。
川崎病は、早期発見・早期治療が鍵の病気です。
「たかが熱」と思わず、お子さんの様子をよく観察し、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。
当院では、川崎病の疑いのあるお子さんの初期診察や、治療後の心臓フォローアップ(心エコー)を行っております。
必要に応じて、速やかに高度医療機関へご紹介いたします。
<参考>
・国立成育医療研究センターHP「川崎病」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)