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お子さんたちは、元気に外で遊び回っていることでしょう。公園で、通学路で、色とりどりの水筒を肩から下げて歩くお子さんの姿をよく目にします。水分補給は、熱中症予防のためにも大切ですよね。
しかし、その「斜めがけ」の水筒が、思わぬ事故の原因になる可能性があることをご存知でしょうか?
今回は、消費者庁からも注意喚起がなされている「水筒を斜めがけした状態での転倒事故」について、小児科医の視点から、その危険性と対策を具体的にお話ししたいと思います。
ChatGPTで作画
「え、うちの子もいつも斜めがけしているけど、大丈夫でしょ」
そう思われた親御さんもいらっしゃるかもしれません。もちろん、多くのお子さんは問題なく過ごしています。しかし、ほんの一瞬の出来事が、取り返しのつかない事故につながることもあるのです。
【危険な理由その1】転倒時、水筒がちょうどみぞおちやお腹辺りに挟まり強打する
お子さんは大人に比べて、内臓を保護する皮下脂肪や筋肉、骨が未発達です。そのため、外部からの衝撃が直接内臓に伝わりやすく、大きなダメージを受けやすいという特徴があります。転倒時に、ちょうど水筒がみぞおちや腹部に強打してしまい内臓損傷をきたす事例が多く報告されています。
【危険な理由その2】水筒のストラップが首を絞めてしまう可能性
転んだ勢いで、水筒が体の下に入り込み、ストラップが首に巻き付いてしまう可能性もゼロではありません。特に、ストラップの長さが調整されていない場合や、小さなお子さんの場合、窒息のリスクも考慮しなければなりません。
消費者庁の調査では、実際に転倒時に水筒が体に当たり、内臓損傷や骨折などの重傷を負った事例が報告されています。また、ストラップが首に絡まって窒息した事例も海外で報告されているのです。
「うちの子は大丈夫」と思いがちですが、事故は本当に予測不可能です。具体的にどのようなケガが報告されているか見てみましょう。
これらの事例は、決して特別なことではありません。いつ、どのご家庭のお子さんに起こってもおかしくないのです。
「もし、うちの子が転んでしまったら…」
もしもの時、親御さんはパニックになってしまうかもしれません。でも、慌てずに、落ち着いて対処することが大切です。
【その場で確認すること】
【こんな時はすぐに受診を!】
見た目には軽いケガに見えても、内臓や頭にダメージを受けている場合があります。以下の症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
特に、腹部に水筒が強く当たった場合は、内臓損傷の可能性も考えられます。内臓のケガは、最初は症状が出にくく、時間が経ってから急変することもあるため、「念のため」の受診が非常に重要です。
では、どうすればこのリスクを減らすことができるのでしょうか?
これが一番の対策です。
「えー、でも子どもが嫌がるんです…」というお声も聞こえてきそうですね。その際は、お子さんと一緒に危険性を話し合ってみましょう。
「水筒が邪魔で、うまく転べなくなっちゃうんだよ」「お顔とか、お腹に水筒が当たって痛い思いをするかもしれないんだよ」と、お子さんが理解できる言葉で丁寧に説明してあげてください。
これは当たり前のことかもしれませんが、最も重要な対策です。
親御さんの「気づき」が、お子さんの安全を守る大きな力になります。
今回は、水筒の斜めがけによる転倒事故のリスクについてお話ししました。
「水筒なんて、ただの道具でしょう?」
いえいえ、お子さんにとっては、時に大きなケガの原因になってしまうこともあります。小児科医として、私たちが一番願っているのは、お子さんたちが毎日を元気に、笑顔で過ごしてくれることです。そのためには、ご家庭でほんの少し意識を変えることが、とても大切になります。
このブログが、親御さんにとって、お子さんの安全を再確認するきっかけとなれば幸いです。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)