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冬になると、お子さんの間で流行するインフルエンザ。高熱や全身のだるさなど、つらい症状に加え、親御さんたちが心配されることの一つに、インフルエンザにかかったときに見られる異常行動があります。
特に、抗インフルエンザ薬であるタミフルを服用すると異常行動が起こるのではないか、と心配される声をよく聞きます。中には「タミフルを飲ませるのが怖い」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、最近発表された論文を参考に、インフルエンザとタミフルの関係について、小児科医の視点からわかりやすくお話ししたいと思います。 https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2837165
結論から申し上げますと、インフルエンザに罹患した際に起こる異常行動は、
タミフルが原因ではなく、インフルエンザウイルスそのものが原因で起こると考えられています。
今回の研究は、2016年から2020年のインフルエンザシーズンに、米国テネシー州でメディケイドに加入している5歳から17歳の子どものデータを解析したものです。
この研究では、インフルエンザに感染した時に、
タミフルを服用した子どもと、治療しなかった子どもの両方について、幻覚やせん妄(もうろうとすること)、錯乱(意識が混乱すること)、飛び降り、痙攣などの異常行動がどのくらいの頻度で起こるかを比較しています。
この大規模な調査で明らかになったのは、
タミフルを服用したグループの方が、タミフルを服用しなかったグループよりも、異常行動が起こるリスクが低いという結果でした。タミフルを服用した場合、服用しなかった場合に比べて、重篤な精神神経症状の発生率が約50%減少したと報告されています。
どういうことかというと、タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を抑え、発熱している期間を短くしたり、つらい症状を軽減したりする効果があります。タミフルを服用することで、インフルエンザウイルスが脳に与える影響を最小限に抑え、結果として異常行動のリスクを減らすことができるのではないか、と考えられています。
この論文は、「タミフルを飲んだ方が、インフルエンザ感染による神経症状をむしろ減らす」ことを示唆しており、タミフルの安全性を裏付ける重要な知見を提供しています。
インフルエンザに伴う異常行動は、
発熱後2日以内、特に高熱が出ている間に起こりやすいことが分かっています。
具体的には、
といった行動が報告されています。これは、インフルエンザウイルスが脳の働きに影響を及ぼし、一時的な意識障害やせん妄を引き起こしている状態だと考えられます。
タミフルを飲んでいても、インフルエンザに罹患した時点でウイルスがすでに増殖しているため、こういった症状が起こる可能性はゼロではありません。大切なのは、タミフルを飲んだから、飲んでいないから、ということではなく、インフルエンザにかかったら誰にでも起こりうる可能性があるということを理解しておくことです。
今回の論文から、タミフルは異常行動の原因ではなく、むしろ予防に繋がる可能性があることがわかりました。しかし、タミフルを飲んでいても、異常行動が起こる可能性はゼロではありません。
そこで、インフルエンザに罹患したお子さんを看病する際に、親御さんに特に気をつけてほしいことをいくつかお伝えします。
私たちは、エビデンスに基づいた、安心・安全な医療を大切にしています。今回の論文も、親御さんたちのタミフルに対する不安を少しでも和らげ、安心して治療を受けていただくための一助になれば幸いです。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)