成人の予防接種
Medical
Medical
「予防接種」と聞くと子供が受けるものという印象があるかもしれませんが、成人が対象のワクチンもあります。いずれのワクチンも予防効果が高いものですので、予防できる疾患をしっかり予防していきましょう。
帯状疱疹は、小児期に水痘(水ぼうそう)に罹った方が、加齢やストレス、糖尿病やがんなどの病気によって免疫力の低下をきたすと、潜んでいたウイルスが再活動し、神経を伝わって皮膚に到達して発症します。この水痘(水ぼうそう)ウイルスは、日本人成人の90%以上の方の体内に潜伏しており、特に50歳以上の方に帯状疱疹を発症させることが多いことが知られています(帯状疱疹は80歳までに約3人に1人が発症します)。
帯状疱疹の症状としては、体の片側の皮膚にピリピリとした痛みがあらわれ、その部分に水ぶくれを伴う赤い発疹が出ます。痛みは徐々に強くなり、夜も眠れないほどの強い痛みが出ることもあります。50歳以上で帯状疱疹を発症した人の約2割は、皮膚の症状が治った後も痛みが3ヶ月以上続く帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)になると言われています。
50歳以上の方は、下記の2つの帯状疱疹を予防するワクチンのどちらかを接種することができます。アメリカ・カナダ・ドイツではシングリックス®が第1選択になっています。
接種をご希望される場合は、当院までお電話でお問い合わせください(044-739-0888)。
シングリックス® | 水痘ワクチン | |
---|---|---|
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン | 生ワクチン |
接種回数 | 2回(2か月開けて) | 1回 |
予防効果 | 97% | 60%程度 |
予防効果の 持続時間 |
9年以上 | 5年程度 |
接種方法 | 筋肉注射 | 皮下注射 |
副反応 | 接種部位の痛み 腫れ、発赤、だるさ、筋肉痛など 多くは3~7日で消失 |
接種部位の痛み 腫れ、発赤、発熱など |
料金 | 24,530円×2回 | 9,020円 |
ポイント |
|
|
髄膜炎菌は、健康な人の鼻やのどの粘膜にも存在していますが、飛沫感染でヒトからヒトへうつり、鼻やのど、気管の粘膜などに感染します。さらに血液や髄膜に侵入して全身に広がると菌血症・髄膜炎などの侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)を引き起こすことがあります。
髄膜炎菌ワクチンは、このIMDを予防するためのワクチンです。アメリカやイギリスなどでは4価髄膜炎菌ワクチンを定期接種として行っています。接種方法は筋肉注射となり、基本的には1回の接種となります。
グローバル化が進み、髄膜炎菌流行国からの渡航者が来日する機会が増えています。
また、日本から髄膜炎菌流行国に渡航する場合もあると思います。
海外の感染症を中心とした情報提供サイト「厚生労働省検疫所FORTH」でも海外渡航のためのワクチンとして髄膜炎菌ワクチンは記載されています。
自費のワクチンではありますが、髄膜炎菌流行地域へ渡航する方、大勢の人が集まるところに行く予定の方(ライブ、コンサート、スポーツ観戦など)に接種をお勧めします。接種をご希望される場合は、当院までお電話でお問い合わせください(044-739-0888)。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって発症します。主に冬に大流行し、とても感染力が強いウイルスです。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。普通の風邪と同じく、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。高齢の方や基礎疾患を持っている方、免疫力の低下している方では肺炎を伴い重症になることがあります。
インフルエンザワクチン(任意接種、不活化ワクチン)が最も効果的な予防法です。インフルエンザワクチンは発病予防だけでなく、重症化予防が期待できます。ワクチン接種後、効果が出現するまでに2週間程度かかり、それから5カ月間ほどは効果が持続します。インフルエンザは例年12~3月に流行するので、12月までにはワクチンを接種することをおすすめします。米疾病予防管理センター(CDC)も推奨するように、毎年インフルエンザの予防接種を受けることで免疫を強化できるといわれています。